小笠原諸島近海にサンゴの密漁に来たと…


 小笠原諸島近海にサンゴの密漁に来たとみられる中国漁船団が確認されて1カ月以上経過した。当初十数隻だった漁船は約200隻に増え、海上保安庁の巡視船などとにらみ合っている。“公然たる密漁”だ。

 中国の王毅外相は岸田文雄外相との会談の中で「必要な措置を取っている」と述べた。しかし、当局が漁船団に強い警告のシグナルを送っているようには見えない。領海侵犯はもとより、海の生態系に異常を来しかねないことに鈍感すぎる。

 わが国は四方を海に囲まれ、江戸時代より漁業秩序の維持に関しては厳しかった。その後も沿岸の漁場は漁業権・入漁権制度によって乱獲などが防止され、沖合さらに遠洋の漁場は漁業許可により調整するという考え方が形成された。

 それが今日も続いていて、公海や外国の領海での漁業でも日本人には漁業法が適用される。かの船団のわれもわれもの違法行為には唖然とするばかりだ。

 海の生態系の危うさについては言うまでもない。例えばニシン漁一つ取ってみても、海水温の長期変動などの理由で漁獲量が激減した。

 こういった苦い経験を重ねて今日の漁業は成り立っている。ニシンに関しては今、漁獲を増加させるために人工孵化(ふか)や稚魚放流の試みが各所で行われている。政府は海保の態勢強化や違法操業の罰金引き上げなどを検討する考えだが、漁業秩序を土足で踏みにじる輩(やから)は断固排除すべし。