慰安婦大虚報をめぐる朝日新聞の対応は、…


 慰安婦大虚報をめぐる朝日新聞の対応は、8月5日の検証記事で虚偽とした故吉田清治氏証言による16本の記事の取り消しから始まった。その際、虚報を掲載したことと、その取り消しが遅きに失したことへの謝罪がなかったことで猛烈な批判を浴びた。

 木村伊量社長は9月11日、東京電力福島第1原発の故吉田昌郎元所長の調書をめぐる誤報の記事取り消し謝罪記者会見で、ついでに16本の吉田証言虚報についても謝罪した。しかし、誠意の薄い姑息な謝罪という印象は否めない。

 次に朝日は10月10日付で、第三者委員会(元名古屋高裁長官の中込秀樹氏ら7委員)を立ち上げ、慰安婦虚報の国際社会に対する影響や杜撰との批判が強い8月検証記事の評価などを調査検証するとした。

 また取り消し記事16本のうち12本だけ、掲載日と記事タイトルなどの情報を初めて開示。だが、残る4本は朝日ではなく小紙(10月18日、21日付)が特定し、16本の記事要旨(1ページ全面特集)とともに公表したのである。

 第三者委は人選の偏りが批判されているが、その一人のジャーナリスト田原総一朗氏ですら、朝日の情報開示の欠陥を突きつけている。8月検証は「(吉田証言で)どういった報道をしたのか、その中身がない」。

 「何も取り消したすべての記事を掲載する必要はないが、象徴的、典型的な部分は掲載をするべきだった」「(読者の大半は)どんな報道をしたかが分からない」(「中央公論」11月号)と。