下村博文文部科学相が「自己否定感を持つ…
下村博文文部科学相が「自己否定感を持つような子供をゼロにする教育をしていきたい」と話している(小紙16日付インタビュー記事)。
今、小・中学校で道徳の時間に偉人や孝行を尽くした人物の伝記などを読んでいるが、人生を肯定的に生きた人たちのメッセージは子供たちの励みになろう。道徳の教科化も教育改革の目標の一つだ。
ノーベル物理学賞受賞が決まった天野浩名古屋大教授は子供のころ、学科の成績が飛び抜けて良くはなかったそうだ。しかし長じて①就職か博士課程への進学かを迫られた時の決断②指導者に出会い師と信頼を結ぶための努力③生涯をかけても惜しくない好きな研究対象の発見――これらを着実に行って結果を出した。
人は社会に出ると、誰も多かれ少なかれ同様の関門で選択や決断をしなければならない。その時、主体的に対処できるよう、日ごろ学力や情操を養い育てること、その手伝いこそが学校教育というものだろう。
今日、わが国では経済的豊かさを背景に、学術や芸術、スポーツなど各分野を専門的に教える中学・高校が生まれている。小学生のころから自分の得意分野を見定めた上で訓練を受ける機会を比較的容易に持てるようになった。
ただ、それは一人一人に自信を持たすための外的な教育環境の造成である。人間としてのより本質的な自己肯定感、自覚をいかに育むか、これこそ今後の教育改革の重要な部分だ。