日本マクドナルドは、7月に消費期限切れ肉…


 日本マクドナルドは、7月に消費期限切れ肉使用が発覚した中国の食品製造会社から鶏肉を調達していた。関連商品が売れ筋の外食店だけにショックも大きかった。

 鶏肉は言うまでもなく動物性たんぱく質の供給源として貴重な存在で、今や国内生産量は肉類で最大の約145万㌧、自給率は66・4%(2013年度)になった。数字からは新鮮な国産鶏肉の安定供給がうかがえる。

 が、実は食用のニワトリの国内生産は、外国の育種会社によって改良された鶏種が大部分を占め、国産鶏種は2%程度にすぎない。つまり仕入れた種鶏を日本でヒナから育て上げているのだ。

 しかも種鶏や原種鶏は雄か雌の一方しか販売されないので、国内でその再生産を行うことはできない。毎年、継続的に種鶏を輸入しなければならないわけで、これが“国内生産”の実態だ。

 今、ウクライナ危機で欧州連合(EU)諸国が科した経済制裁の報復として、ロシアは8月から鶏肉などの輸入禁止措置を取った。その結果、サハリン州などで鶏モモ肉の卸値が60%上昇、国内大手ブロイラー資本家らが養鶏業育成を盛んに言いだした。自業自得だろう。

 一方、わが国では06年に起きた欧州の鳥インフルエンザで、ヒナの輸入が停止したが一時的で大事に至らなかった。しかし今後、輸入相手国での自然災害や疫病で深刻な影響を受けるケースが出てくるかもしれない。国産鶏の安定確保体制の構築が急務だ。