「子規さんが俳句にのめりこんだのは高校生…


 「子規さんが俳句にのめりこんだのは高校生の時。明治の高校生が面白がって平成の高校生が面白がらないのは、料理の仕方が悪いだけで、うまく料理すれば食べてくれる」。

 俳人の夏井いつきさんが、荻上直子監督の映画「恋は五・七・五!」(2005年)の公開に際して語ってくれた言葉だ。この映画は愛媛県松山市で毎年8月に行われる「俳句甲子園」をそのまま舞台として作られた作品。

 夏井さんは俳句甲子園の運営にも加わって、審査委員を務めているが、映画で使われた俳句は、夏井さんと「いつき組」のメンバーが作ったもの。17回目の今回、夏井さんは記念シンポジウムで市長に代わって「俳都松山宣言」を発表。

 松山市は正岡子規、高浜虚子、中村草田男、石田波郷ら優れた俳人を輩出。夏井さんも松山在住で、中学校国語教諭の経験を活かし俳人になってからも小中高生を対象に「俳句ライブ」を展開してきた。

 児童生徒らを集めて句の作り方を教え、できた作品の選までさせる。名前を隠して選ぶので、1位の句の作者が誰かは順位が決まるまで分からない。夏井さんによると、一番の嫌われ者だったりするのだ。

 「恋は五・七・五!」で登場するのもずっこけた生徒ばかり。さて、今回の俳句甲子園全国大会の優勝校は東京の開成高等学校。最優秀句は「湧き水は生きてゐる水桃洗ふ」(愛知県立幸田高等学校2年・大橋佳歩さん)。甲子園という料理の成果だ。