今から56年前の1958(昭和33)年8月23日…


 今から56年前の1958(昭和33)年8月23日の暑いさなか、中国人民解放軍は台湾の金門島に砲撃を行った。世に言う「金門砲戦」の始まりである。

 米国は太平洋艦隊指揮下の第7艦隊を台湾海峡に直ちに派遣、さらに最新鋭機を台湾に急派するなど海空の兵力を集結させた。侵攻すれば局地戦ではすまぬと警告した。

 その結果、戦闘は同年10月には終息し現在に至っている。米中間の軍事力の圧倒的な差、その劣勢に中国がほぞを噛(か)んだことは容易に分かる。しかしこの約半世紀の間に日本近海における米中の影響力は大きく変化した。

 先日、中国軍機が南シナ海の海南島の東方約220㌔の公海上で、計5回にわたり米軍の対潜哨戒機P8に異常接近。中国軍機はP8の下方約15~30㍍を通過したり、機体底部を見せながらP8の前方を横切ったりした。

 米報道官は機体底部を見せたことについて、武器を搭載していることを誇示するためだと指摘した。また中国軍機の動きについて、国際法に反する妨害行為であり、危険で軍隊の行動規範から外れていると批判した。

 今年3月と4月、5月にも中国軍機の危険な接近があり、今回を含め、いずれも海南島の部隊に所属する戦闘機の行為とみられる。挑発行為であることは明らかだ。わが国に近い台湾海峡や南シナ海の現状はかくのごとし。海外情勢を踏まえてのさらなるわが国の防衛、憲法論議を求めたい。