先日ある教授に面会するため東京都内の…


 先日ある教授に面会するため東京都内の某大学に足を運んだ。夏休みで学生もまばらな静かなキャンパスを予想していたが、行ってみると学生が随分多い。面会した教授に尋ねると、ちょうど前期試験の真っ最中とのこと。

 今から40年ほど前、気流子が大学に通っていた頃は7月も10日頃にはもう夏休みに入っていた。しかし最近は、昔と比べると授業日数も多くなっているという。教育行政の違いで、こうも変わるのだ。

 一方、首都圏の小中学校は先週末から夏休みに入っている。いつもより一つ二つ多い荷物を持って帰宅する子供たちを見掛けた。猛暑で熱中症の危険もあり、昔のように外で遊ぶのもままならぬ子供たちは、どんな夏休みを過ごすのだろう。

 そこで改めて気になるのが、終了日の荷物の中身である。文部科学省発行の道徳教材「私たちの道徳」がちゃんと入っていただろうか。

 小紙が全国3000家庭に行ったアンケートでは、依然8割の児童・生徒が同教材を持ち帰っていなかった。夏休みを前に文科省は、今月8日付で都道府県教育委員会に、道徳教材を生徒に持ち帰らせ家庭や地域で活用するように指導するよう3度目の通知を行った。

 「私たちの道徳」には、人物読み物などが多く載っている。それをきっかけに、さらに読書意欲がかき立てられることもあるだろう。そんな便利な教材を利用させない教師の考えは、よほど歪(ゆが)んでいるとしか言いようがない。