STAP細胞問題の原点となった小保方晴子…


 STAP細胞問題の原点となった小保方晴子氏の博士論文について、博士号を授与した早稲田大学の調査委員会は「博士号取り消しには該当しない」との結論を公表した。

 盗用などの不正が複数件見つかったが、執行猶予のような形となった。それにしても、提出すべきでない原稿を間違って博士論文として出した、というのは普通では考えられない。

 STAP細胞をめぐる騒動も含めて、小保方氏の特異な個性が気になるところだ。ただし悪意はなさそうで、締め切りに追われたさなかのミスと思われるが、そうであってもひどすぎる話ではある。

 学生時代、教授から聞いた話。国文科の卒論で、島崎藤村の『破戒』(明治39年)を論じたものが提出された。教授が読むと、登場しない人物について言及されている。面接で指摘すると「映画を見て書いた」と白状した。『破戒』は重苦しい長編小説だが、3日もあれば読むことは可能だ。

 重要な作中人物を抜きにして論文を書くことは、内容によっては許されることもある。が、登場しない人物について述べているとすれば、文学作品である『破戒』を論じたものではなくなってしまう。

 当然不可で、卒論は必修科目だから学生は留年。就職が決まっていたかどうかまでは聞き洩らした。そんなエピソードを教授が紹介したのは、「卒論ぐらいちゃんと書けよ」との警告だったことは言うまでもない。