富士山で1日、山開きを迎えたニュースが…


 富士山で1日、山開きを迎えたニュースが小紙2日付で紹介された。早朝、山頂はガスで真っ白だったが、太陽が顔を出すと周囲は「金色一色の幻想的な雰囲気」になったと伝えられた。

 この日、山開きが行われたのは山梨県側で、富士スバルライン5合目から富士山の北側を登る吉田ルート。一方、静岡県側の山開きはきょう10日。昨年は両方の県とも同じ1日だったが、こういう年は珍しい。

 静岡県側では雪解けに時間がかかり、山小屋の受け入れ準備が整わないためだ。同県側には須走、富士宮、御殿場の三つのルートがあるが、きょうの山開きでも、山頂まで登ることができるのは須走ルートだけ。

 2日の調査では、御殿場ルートの積雪は8合目で約2メートル。富士宮ルートは山頂付近で約3メートルだったという。夏の富士山はテーマパークのにぎわいだが、標高3776メートルの自然のもつ険しさはそのままだ。

 最も登山者が多いのは吉田ルート。7~8月の入山者は約30万人で、その6割がこのルートを使っている。由来は古く、日本武尊が東夷征伐の帰りに立ち寄って、浅間神社裏手の大塚山から遥拝したという伝説がある。

 小野庄一さんの写真集『テッペン!』(講談社)は富士山がテーマだが、山小屋の混雑ぶりには驚かされる。「頂上に着いてもトイレは長蛇の列で、1時間以上、寒風吹き荒ぶ場所で並ぶことも」と記す。登るには混雑に対する覚悟も必要だ。