カネボウ化粧品の美白化粧品を使用し肌に…


 カネボウ化粧品の美白化粧品を使用し肌に白斑が出た問題が発覚して1年。このほど美白成分の「ロドデノール」という物質に、肌の色素細胞に対する毒性があるという研究結果を同社の研究所などのチームがまとめ、専門誌に発表した。

 これを受け、カネボウ化粧品は白斑問題について「国への申請段階(注・平成18年7月)では、ロドデノールの毒性は分からなかった。美白効果をもたらす濃度では問題はなかった」(広報)としている。今初めて毒性が分かった“想定外”の出来事だったとする言い分だ。

 これに対し、化粧品科学が専門の前田憲寿東京工科大教授は「申請の段階で毒性物質ができることは当時の医学の知識水準で明らかだった。もしより高い濃度で安全確認していれば、事前にトラブルを防げた」と指摘している。

 さらに「問題はロドデノールが、化粧品に配合される濃度でどれぐらい皮膚に到達するかということだが、その実験は学生でも一日あれば可能。その実験データを(カネボウ化粧品が)持っていなかったはずはない」とも。

 これらの指摘について、カネボウ化粧品側は誠実に答えるべきだが「ノーコメント」(広報)。同社は4月下旬、「原料の安全性確認」など今後の安全対策をホームページ上に発表したが、抽象的で実効があるか疑問だ。

 早々の幕引き狙いのようだが、このままだと別の化粧品でも似た問題が起きるのではないか。