米国のオバマ政権は、アフガニスタンの反政府…
米国のオバマ政権は、アフガニスタンの反政府勢力タリバンが拘束していた米陸軍軍曹1人の解放と引き換えに、タリバン幹部5人を釈放するという行為に出た。
本紙・早川俊行ワシントン特派員はこれに対し「政権浮揚を図る思惑があった」という米国内の見方を紹介している(11日付)。さもありなん。
記事では、米有力コラム子の「16年末までのアフガンからの完全撤退やシリア内戦への対応なども、側近グループの政治判断が影響している」などの言を挙げ、今回「イラク・アフガン戦争『最後の捕虜』の帰還を実現する」という政治判断が優先したとしている。
オバマ政権はシリア内戦の収拾で力を発揮できず、イラクでは米軍撤退後の国内の混乱を収められずにいる。米国が中東の平和安定ににらみを利かしていたのは昔日のことで、捕虜交換はその延長線上にある。
この軍曹についてはその後、アフガン駐屯地から脱走して拘束された疑惑が浮上、オバマ大統領の決断にケチがつきかねない状況だ。それはともかく最大の問題は「テロリストと決して交渉しないという米国の長年のポリシーに対する侵害」(共和党・ベイナー下院議長)であること。
一事が万事。戦後、世界の自由と民主主義を守る盾となり、同盟国の利益を守ってきた米国の力に陰りが出てきたことは事実だ。わが国では集団的自衛権行使を容認する閣議決定を速やかに実現してほしい。