庶民の食卓を支える安価で栄養のある食品…
庶民の食卓を支える安価で栄養のある食品として卵は優等生だが、バナナもそれに並ぶと言っていい。スーパーのセール店頭価格(税込み)は1袋(4~5本入り)130円ぐらい。
果物売り場には季節を問わず並ぶが、最も消費が増えるのは4~6月である。ハウスもの果実の充実で事情が変わってきたが、かつては冬のミカンのあと、夏のスイカが出回るまでの国内果実の少なくなる端境期に合わせて輸入されてきた。
果実の中で輸入量トップなのがバナナ。昨年のデータでは約98万㌧で、2位パイナップル(約18万㌧)、3位グレープフルーツ(約13万㌧)を大きく引き離している。
今ではフィリピンものが約95%とほぼ独占状態だが、日本に最初に入ったのは台湾からで明治36(1903)年。当時は高価な希少品だったし、戦後も輸入割当制度などで高価だったバナナはなかなか庶民の口に届かない高嶺の花だった。
昭和30(1955)年に小学2年だった気流子にとっても、バナナは病気でもなければ口にできない高級果実だった。それが今やスーパーに並ぶバナナの山を前に、隔世の感がある。
近年は健康食品としても評価を高めている。エネルギーの吸収効率がいいことから、市民マラソンやトライアスロンなどの栄養補給でも活躍。筑波大・谷中昭典教授チームの臨床研究では、毎日摂取で花粉症軽減の効果を認める結果も出ている。