後藤徹さん(50)は今年1月28日、…
後藤徹さん(50)は今年1月28日、東京地裁709号法廷(相澤哲裁判長)で原告となった民事訴訟の勝訴判決を得た。平成20(2008)年2月まで12年余にわたり東京・荻窪などのマンションに監禁され、世界基督教統一神霊協会からの脱会、棄教を強要され続けてきた被害者。
監禁から解放された時、後藤さんは44歳になっていた。信教の自由を踏みにじる不法行為で被った損害賠償を求め、実兄夫婦、後ろで糸を引くなど不法行為に深く関わっていた職業的脱会屋や牧師らを提訴。3年にわたった裁判を戦い抜いた末の勝利である。
実兄らや加担した脱会屋の不当拘束を認め、賠償を命じた地裁判決の意義は大きい。加害家族に加え、家族を背後で動かす“黒幕”とされてきた脱会屋の不法行為を指弾し、賠償命令が下ったことは初めてだからだ。
裁判をフォローしてきた宗教ジャーナリストの室生忠氏は、判決に一定の評価をしたが「諸認定に際して『社会的相当性』など旧来の基準尺度に固執して、憲法で保障された『基本的人権』そのものの尺度採用に踏み出せなかった」ことを惜しんだ。
不当拘束をこれまで「保護説得」だと強弁してきた被告側は、この判決を「不当判決」として控訴。原告の後藤さん側も控訴した。
勝訴とはいえもう一方の“黒幕”である牧師の責任が認められなかったこと、賠償金が過少であることなどからだ。控訴審(東京高裁)は5日から始まる。