年間2000人程度で推移している司法試験の…
年間2000人程度で推移している司法試験の合格者を、2016年までに1500人程度に減らす緊急提言を自民党司法制度調査会(会長・丸山和也参院議員)がまとめた。
提言は若手弁護士の現状について「先輩弁護士の指導や弁護士会の組織的OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を受けることがかなわず、経験者から学ぶことが困難な事態も生じている」などと指摘し、教育環境を整える必要性を強調。法曹の質の向上を図るのが狙いだ。
今世紀初めに始まった司法制度改革の目玉となったのが、司法試験合格者を年間3000人程度とするという目標。国境を超えた経済事犯の増加などを踏まえ、国際的に通用する弁護士の養成が狙いだった。
ところが、弁護士が急増し、その資格を得ても弁護士事務所などへの就職が決まらない。そのため指導や訓練が受けられず、質の低下を招くという悪循環が起きた。緊急提言はこの流れを食い止めようというものだが、「やんぬるかな」である。
司法制度改革のこの迷走ぶりを見ると、分野は違うが、国が博士号取得者の量産に取り組んだ結果、その就職難を生むことになった「ポスドク」問題が思い浮かぶ。
共に「世界の中の日本」の実現に向けて国際化に対応する試みだ。しかし今のところ、必ずしも社会的ニーズに応えているとは言えない。世界に通じる日本独自の改革を果たしたい。