まだ2カ月ほど先のことだが、心配事がある。…


 まだ2カ月ほど先のことだが、心配事がある。今年はあのやわらかで幻想的な光の乱舞を観賞できるのかな、と。6月と7月の週末3日間限定で行われてきた東京・板橋区ホタル生態環境館(高島平)のホタル夜間特別公開 。

 メロンハウスを活用したガラス張り室内は、水草やコケ、シダなど水辺の植物が小さなビオトープ(生物生息空間)をつくり、間を長さ約17㍍の小川が流れていた。メダカのいる小川の周りで、卵から幼虫、さなぎ、成虫と1年の一生を過ごすホタル 。

 今年は福島県大熊町から卵を譲り受けて飼育したゲンジボタルの25代目が公開されるはずだ。だが、ここは板橋区が施設の老朽化やホタルの減少などを理由に廃止を検討している 。

 今年1月に行われた区の生態調査の実態録画(同館で活動したボランティアらが公開)では、区委託の業者がホタルの幼虫が冬眠する小川に足を踏み入れるなど荒っぽい調査手法が明らかに。このため幼虫が大量に減ったという 。

 また同館で飼育担当だった区職員が先月下旬に懲戒免職処分を受けたことをめぐっても、元職員が記者会見。処分理由が事実に基づかないとして処分取り消し提訴をする。人事をめぐる争いは法廷での決着に委ねるしかない 。

 目下の心配は、今年も幽玄の世界を奏でるホタルの光を楽しめるのかどうかだ。ホタル夜間公開を楽しみに待っている人が多いことは、昨年の長蛇の列でも分かる。