農業、林業、漁業の1次産業は国の財政による…
農業、林業、漁業の1次産業は国の財政によるてこ入れが行われてきたが今日、基幹産業としての役割を果たすどころかほとんど例外なくひ弱な産業になってしまった 。
環太平洋連携協定(TPP)交渉にからみ農業の今後について論議が盛んだが、より不振をかこつのが漁業。日本の水産業の生産額(2012年)は約1兆4178億円と、ピークだった1982年(2兆9772億円)の半分以下だ 。
停滞の原因の一つとして、日本周辺の水産資源が減少したことが挙げられる。水産庁が実施した日本近海での主要魚種の資源評価によると、太平洋のマアジなど約43%の魚種が資源量の少ない「低位」状態とされ個体数の回復が急務となっている 。
同庁は資源の減少に歯止めを掛けるべく、先月下旬「資源管理のあり方検討会」の初会合を開いた。乱獲を防ぐため、特定の魚種を対象に国が漁獲の上限を決めているTAC(漁獲可能量)制度の拡充や、国が漁船ごとに漁獲枠を配分するIQ(個別割り当て)方式の普及などが今後検討される 。
ただ漁獲割り当てを減らすことは、漁業者や加工業者らの経営を圧迫しかねず、関係者の反発も予想される。検討会では、漁業制限や休漁期間の設定など漁業者の自主的な取り組みを評価すべきだとの意見が出た 。
結論は6月にまとめる予定だ。適正な資源管理とともに漁業再生につながる議論を期待したい。