全国初の第三セクター方式による鉄道として…
全国初の第三セクター方式による鉄道として三陸鉄道が開業したのは、30年前の1984年4月1日。開業間もなく、当時駆け出しの社会部記者だった気流子は、その様子を取材するため「北リアス線」に乗った。岩手県の宮古-久慈間である。
「三陸をメルヘン列車が行く」の見出しの付いたルポ記事の切り抜きを読み返すと、当時のことがありありと蘇(よみがえ)ってきた。田野畑駅に入る列車を裏手の崖の上から撮った写真や、久慈駅でスカーフを被ったおばさんたちが乗り込む写真も懐かしい。
手前味噌ながら少し引用させていただく。<トンネルを抜けると海がのぞき、またトンネルまた海といった風景が続く。駅のすぐ前は小さな漁港で、舟がもやってある><乗客も少しずつ降りて車内はすいてきたが、野田玉川駅で高校生の一団が乗り込んで来た。車内はまたにぎやかになる>。
それから27年後、この鉄道が大津波にのまれ不通になるなど、もちろん想像だにできなかった。しかし、いつかまた再開することも疑いなかった。
きょうは南リアス線・吉浜-釜石間、あすには北リアス線の小本-田野畑間が再開する。「三鉄」の愛称で呼ばれる地域の足である。地元の人々の熱い思いが背景にある。
この鉄道はNHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」の舞台となり、全国の人々に改めて注目された。多くの観光客や鉄道ファンが、再びこの魅力ある路線を旅するようになるだろう。