【上昇気流】農林水産業の成長産業化


わが国の「農林水産物・食品」の輸出額が2021年に初の年間1兆円超えが確定した。米国や中国で外食需要が回復したのが主因で、ホタテ、牛肉、日本酒などが大幅にアップした。政府は25年に2兆円、30年に5兆円を目指している。農林水産業の成長産業化をぜひ実現したい

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目標達成には米国、中国、東アジア、一部ヨーロッパなど、主要販路のさらなる拡大が必要だ。その上で、中東やアフリカなどの販路開拓の戦略が必須になってくる。

例えばトルコ。人口8000万人を超え、1人当たりGDPが約1万㌦ある。しかしトルコ人は一般的に伝統的な料理を好み食に対して保守的で、日本食のトルコ向け輸出はこれまでほとんど見られなかった。

ところが最近、流行に敏感な若者や海外経験の豊富な富裕層を中心に日本の食品に対する関心が高まっているという。販路拡大のチャンスだ。5年前に行ったイスタンブールで、地元デパートのオーナー夫人が「年に1度日本に出掛け、食事して回るのがとても楽しみ。小学生の息子には菓子類を買って帰り大喜びされる」と話していたのもその例だ。

中東に限らず販路の拡大や開拓には、日本の食材に関心を持っているそれぞれの国に特化した食品の育成が必要だ。そのため、酪農や施設園芸、養鶏、高級果樹栽培など、集約的で付加価値の大きな生産の場が拡大されよう▼若者が農業を継いでいく土壌が新たに生まれてくればしめたものだ。