【上昇気流】働くことの意識


厚生労働省は2018年春に大学を卒業し、就職後3年以内に仕事を辞めた人の割合(離職率)が前年度比1・6ポイント減の31・2%だったと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明感を背景にした転職控えなどで減少したようだが、毎年3割以上と高い離職率が常態化しているのは日本社会にとって心配の種だ。

離職は、選んだ職種が入社後の職務満足につながっていないこと、辛抱する力が弱くなっていることなどが理由に挙げられるが、詳細な分析資料は今のところ見当たらない。

日本生産性本部(東京・千代田区)が1969年度から実施している新入社員対象の「働くことの意識」調査によると、70年代には働く目的として「自分の能力を試す」が4割近くあったが、その後は低下し、2019年度には10・5%になった。「好んで苦労することはない」(37・3%)も同年度に過去最高だ。

一方、人材をじっくり育てようとしない企業側の問題も大きい。事業戦略のターゲットに合わせて学生を絞り込む“新卒即戦力人材”とも言える採用にシフトする企業が増加。その結果、社内で改めて人材を確実に育てていこうとする空気が薄くなっているとみる専門家が少なくない。

職場にさっさと見切りをつける若者も問題だが、人を大切に育てない企業に未来はない。終身雇用ありきは今日の企業のあり方に必ずしもそぐわないが、「育て方改革」に力点を置くことが必要だ。