今回の東京五輪では、さまざまな制約から…
今回の東京五輪では、さまざまな制約から日本文化の発信は十分にできなかった。一方、日本のマンガやアニメが世界の若者たちの間にいかに浸透しているか改めて知った。
新体操女子でウズベキスタン代表が、人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」を模したユニホームで登場し、主題歌に乗って華麗な演技を披露した。SNSで話題となり「誰か月に代わってメダルをあげて」などと海外のアニメファンからも称賛が相次いだ。
気流子も6年前にウズベキスタンを初めて訪ねた時のことを思い出した。首都タシケントの国立東洋学大学で日本語学生たちと交流する機会があり、その時話題になったのが村上春樹さんと「セーラームーン」だった。
2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式に、安倍晋三首相(当時)がマリオに扮(ふん)して登場し大喝采を浴びた。かつてはサブカルチャーと分類されていたマンガ・アニメだが、今やメインカルチャーであることが示された。
以前、マンガ・アニメの国際的な拠点をつくる構想が麻生太郎首相(当時)の主導で進められたが、民主党の反対で実現しなかった。しかし、これが世界の動向を正しく捉えた構想だったことは既に証明済みだ。
世界の若者たちの「共通言語」となりつつある日本のマンガ・アニメ文化。東京五輪の成功がこれをさらに育て、世界に発信し、産業の活性化につなげていく戦略再構築のきっかけになることを期待したい。