アフガニスタンでは駐留外国軍の撤収が完了に…


 アフガニスタンでは駐留外国軍の撤収が完了に近づきつつあり、各地の戦闘では反政府軍タリバンが政府軍を圧倒している。タリバンは政府に停戦を提案。両者の代表団がドーハで協議し、和平実現への協議を加速することで合意した(小紙7月20日付)。

 外国軍の駐留とともに、この国を舞台にした数々の映画が作られてきた。貧しい子供たちの世界を描いた「子供の情景」や、米軍兵士が受けた心の傷を綴(つづ)った「マン・ダウン 戦士の約束」など異色の作品も。

 今年3月公開された「アウトポスト」は、北東部のキーティング前哨基地を舞台とし、アフガンで最悪の戦闘と言われた衝撃の実話を基に製作された。ここは米軍の補給経路を維持する重要拠点だ。

 四方を山々に囲まれた谷底にあり、包囲されれば格好の的。そして2009年10月3日、全方面に展開したタリバンの精鋭部隊によって総攻撃を受ける。兵士の数もタリバンが圧倒していた。

 後に「カムデシュの戦い」と呼ばれたが、戦闘は14時間に及び、優位な立場に立っていたタリバンは、結局は攻略に失敗し、敗北する。よく訓練された米軍兵士のチーム力に敗れたのだ。

 観(み)ていると、ベトナム戦争最大の激戦「南881高地の戦い」を描いたロバート・グリーン著『地獄から還った男』(原書房)を思い出した。重要拠点を守り抜いたのだったが、その後米軍は撤退を余儀なくされた。現代史は足踏みしているかのようだ。