50~60代の男性であれば子供の頃、田んぼや…


 50~60代の男性であれば子供の頃、田んぼや小川でザリガニ釣りをした人は多いだろう。小枝の先の凧(たこ)糸に煮干しなどを付け、ザリガニの頭に近づける。太いハサミで挟んだところを引き上げる簡単な釣りだが、子供には人気だった。

 赤色の大きなハサミを持ち、見た目も立派なアメリカザリガニが好まれた。名前の如(ごと)く北米から昭和の初めに日本に持ち込まれた。今では農薬のせいで田んぼでは見掛けないが、男の子たちの人気は依然高くペットとして飼われている。

 環境省は、そのアメリカザリガニを特定外来生物に指定することを検討しているという。日本固有種のニホンザリガニやゲンゴロウなどの水生昆虫を守るためで、指定されれば輸入や販売、野外放出が禁止される。

 なぜ今頃になってという気がしないでもない。アメリカザリガニは、とうの昔に日本在来種を蹴散らしてしまっている。

 ニホンザリガニは気流子が子供の頃は北陸地方にも生息していた。それが今や絶滅危惧種に指定され、北海道や東北の一部にしか生息しないという。昔はアメリカザリガニと比べると、薄茶色で小さく、みすぼらしく見えて見向きもしなかったが、希少生物となった姿を見れば愛(いと)おしく思うに違いない。

 気流子の小さい頃は環境教育らしいものはなく、在来種と外来種の関係などもあまり関心がなかった。今の子供たちにはそのあたりをしっかりと教え、かけがえのない固有種を守ってもらいたい。