最近の相撲は、かつて輪島や北の湖がしばしば…
最近の相撲は、かつて輪島や北の湖がしばしば取ったような水入りの大相撲などまず見られなくなった。そもそもがっぷりと四つに組んだ相撲自体少なくなってきた。NHK「大相撲どすこい研」を観(み)てその理由がよく分かった。
番組では「うっちゃり」をテーマに、現役の親方らが登場して解説。この決まり手が少なくなった背景に、秀ノ山親方(元大関琴奨菊)らは昭和59(1984)年の立ち合い改革を挙げる。しっかり手を着く立ち合いに変わったことで、胸と胸が合う四つ相撲がぐっと減ったのだ。
これ以降、力士たちは立ち合いでいかに自分に有利な態勢にもっていくかに腐心するようになる。そして押し、四つを問わず自分の形を作れば、あっさり勝負が決まるケースが増えた。大相撲中継で解説の舞の海秀平さんがよく「立ち合いが問題」と言うわけである。
モンゴル相撲や韓国のシルムは、土俵もなく、四つに組んだ態勢で競技を開始する。当然、寄り切りや押し出しなどという決まり手はない。これが恐らく相撲の古い形だったのだろう。
一方、日本では土俵を設定することで独特の面白みが生まれた。決まり手も投げ技あり、押し技ありとバラエティーがある。さらに土俵際の攻防の妙味も。
立ち合い改革は、日本の相撲の特徴をさらに際立たせることになったと言える。ただ栃若時代や輪湖時代の相撲を見てきた年配者には、やや物足りなくも感じられるかもしれない。