英国ではチャリティー活動が盛んである…


 英国ではチャリティー活動が盛んである。25年以上前になるが、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発事故で被曝したベラルーシの子供たちを民間のチャリティー団体が招き、ホームステイさせているのを取材したことがある。

 ロンドンの西にあるブラックネルという町で、小学生の男子10人ほどがプールで水泳を楽しんでいた。子供たちは一見、元気そうだったが、みな甲状腺がんに罹患していた。チェルノブイリ事故では1万9000人以上の子供がこの病になった。

 ブラックネルは、英王室の城があるウインザーにも近い田舎町。「空気のいい所でリラックスして過ごすのがこの病気にはいい」とのことだった。

 東京電力福島第1原発事故でも、被曝による甲状腺がんの発症が懸念された。しかし、世界の放射線医学の専門家が参加する「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」は、住民の被曝線量は高くないと推定し、「がんなどの健康影響が増加する可能性は低い」とする報告書を発表した。

 福島県は事故当時18歳以下だった約38万人を検査し、252人ががんやその疑いと診断されたが、県の専門部会は放射線の影響とは考えられないと結論付けた。より精密な検討を加えた今回の報告書も同様の結論に至った。

 報告書は治療しなくても死亡に至らないタイプのがんを高精度の検査機器で見つけた「過剰診断」の可能性も指摘した。必要以上の恐れが除かれた点では朗報と言っていい。