新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言再延長…


 新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言再延長について菅義偉首相の記者会見は淡々としていたが、改定された基本的対処方針などを見ると、感染拡大を抑え込もうとする政府の並々ならぬ決意を感じる。

 方針の一つは、幅広いPCR検査など(モニタリング検査)やデータ分析の実施。例えば、3月末までに全国の高齢者施設など約3万の施設で感染者の有無を調べる検査が実施される予定だ。

 もう一つは、感染経路や濃厚接触者を追ってクラスター(感染者集団)を特定する「積極的疫学調査」の強化。追跡調査のため“人海戦術”が必要で、保健所の人員体制が不十分な時は、医療関係の人材バンク「IHEAT」の活用も図る。

 また、今後広がる可能性のある変異株への対応を強め、その感染源の推定調査も行う。これらの対策は従来と比べ質量ともにアップされたもので、実行には融通無碍(むげ)の対処力が要る。

 菅首相の今回の記者会見には、コロナ収束を図り今夏の東京五輪・パラリンピックは必ずやるという国民へのメッセージがあったように見える。政府は海外からの観客の受け入れを見送る方向で調整に入ったようだが、後には引けない、退路を断つという覚悟を据えたのではないか。

 五輪・パラは盛り上がらなければやらない方がいいという意見もあるが、そうは思わない。今の世界、その時代の事情下で最高のパフォーマンスを見せ、歴史に残すことに意義があるだろう。