東京・恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都…


 東京・恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館で「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」が開催中だ。先日開かれたプレス内覧会で、学芸員の三井圭司さんが解説してくれた。

 展覧会は3月3日から5月24日までの開催予定だったが、新型コロナウイルスの流行で休止となり、その期間はオンラインコンテンツとして解説動画を制作してバーチャルな紹介だけとなった。

 今月になってようやく開かれ、東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木、茨城、群馬など関東地方に根付いた写真文化の広がりを紹介している。度重なる災害を生き抜いた機材と初期写真190点である。

 話を聞きながら、何が起こるのか予測できない不確実性の時代を感じさせられた。川崎市市民ミュージアムから、米国で撮影された現存する最古の日本人ポートレート2点が出品されていた。

 実は昨年10月、同ミュージアムは台風19号による被害に遭い、収蔵庫が水浸しに。出品されたポートレートも他の写真同様に水に浸かったが、学芸員がジップロックに入れていた配慮で無事だったという。

 熊本市の横井小楠記念館からは、鵜飼玉川撮影の《横井小楠像》(1861年)が出品されていた。同記念館は2016年4月の熊本地震で被害を受け、復旧作業のため18年まで休業を余儀なくされた。この写真もまた災害を無事生き抜いたのだった。作品が保存されてきたのは、災厄から守ろうとする人の配慮の賜物(たまもの)だ。