宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星…


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還し、オーストラリアに入っているチームに回収された。小惑星の砂が入っているとみられ、日本に運ばれる予定だ。

 小惑星での砂の採取といい、パワーアップしたイオンエンジンの推進力や耐久性、帰還までの行程の緻密なコントロールなど、どれもトップレベルの宇宙技術によって展開された。その力を世界に示し、サンプルリターンは日本のお家芸となった。

 しかも今回、宇宙探査の目的が「生命の起源探し」(プロジェクトマネジャー・津田雄一さん)であるということが素晴らしい。「宇宙における人間の位置付けを明確にしたい」という科学者の望みを実現するための大きな一歩であるとみたい。

 実際に宇宙での生命の探究に目を向けることが可能になったのは、太陽系以外の惑星(系外惑星)や小惑星の研究が盛んになった20世紀末からだ。当時、系外惑星が発見され、一気に惑星探しや小惑星探査が熱を帯びてきたという背景がある。

 宇宙は幾何学的な体系で超然として、一見すると人間を寄せ付けない天体の集まりのようでもあった。しかし太陽系内外の天体が、実は地球や生命の誕生の謎を解く手掛かりが幾つも残る研究対象だという見方が天文学の趨勢(すうせい)になっている。

 宇宙探査では世界各国がしのぎを削っている。日本は世界に伍(ご)しながら、独自の真理の発見、宇宙の開拓を目指してほしい。