新型コロナウイルス流行の長期化で、巣ごもり…


 新型コロナウイルス流行の長期化で、巣ごもりする人々に向けてインターネット販売による販路拡大が盛んだ。東京・豊洲市場の水産業者は、クロマグロやウニなど高級すし店で使われる魚介類を一般向けにネット通販する(小紙12月1日付)。

 11月下旬に販売したのが、青森県大間産のクロマグロの赤身とトロのさく。このほか木箱に入ったウニ、生食用のホタテ、イクラ、ボイルしたカニなど多彩なメニューをそろえた。家庭が魚市場と直結した。

 こうした食のネット販売に着目してきたのが、漫画家のカレー沢薫さん。「ひきこもりグルメ紀行」という連載を「女子SPA!」で2016年12月号から始め、先月には同名の著書として筑摩書房から出版した。

 「無職の漫画家・カレー沢薫が発達した通販文化を駆使し、部屋から一歩も出ずに全国津々浦々の名物を手に入れ、部屋から一歩も出ずに食べ尽くす試みである」と内容を紹介している。

 福岡県「博多通りもん」、高知県「ケンピ」、愛知県「ひつまぶし」など各地の名産品が次々登場。不要不急の外出を控えるようにという要請が自治体から出されるのを予知していたかのようだ。

 著者は部屋から出ない生活をしているからだが、「このコラムは完全な世相先取りであり、何かと後手に回りがちな政府に代わり、コロナ後の新しいライフスタイルを提言していた」とあとがきに述べる。食は不変だが、その文化形態は変転してやまない。