安倍晋三首相の靖国神社参拝で、米国政府や…


 安倍晋三首相の靖国神社参拝で、米国政府や議会、メディアの中に、日本に軍国主義の芽があるのではとの憂慮が生まれているという。小紙「ビューポイント」欄で、アメリカン・エンタープライズ政策研究所客員研究員の加瀬みきさんが伝えている。

 もちろん、日本にとっては現実離れした杞憂(きゆう)にすぎない。しかし、米国にはそういう見方をする人々がいるという現実は直視すべきである。

 加瀬さんは「誤解を生むばかりか意図を捻(ね)じ曲げられる恐れがあるのは、政治の世界では国内であろうと国際社会であろうと同じである」と指摘している。それを絵に描いたような報道を英紙フィナンシャル・タイムズが行った。

 安倍首相がダボス会議の際の記者会見で、現在の日中の緊張関係を「(第1次世界)大戦前の英独対立に例えた」というのだ。これに対し、菅義偉官房長官が「このようなことにならないようにしなくてはならない」というのが結論であったことを説明した。確かにこの部分を抜かせば、発言のニュアンスは大きく違ってくる。

 加瀬さんは、こうした「罠(わな)」に陥らないために「発言の食い違いを避けるばかりでなく、海外からの攻撃材料を排除するために国民と広く歴史や安全保障に関する議論を深める」ことを提言している。

 本来、客観性と冷静さを求められる歴史への眼差しが、左翼史観と外圧、そしてそれへの反動で歪められてきた。バイアスを取り除く必要がある。