小紙昨日付で早川俊行編集委員が「今回の…


 小紙昨日付で早川俊行編集委員が「今回の大統領選の敗者は、間違いなく米国の民主主義そのものである」と。

 激戦州で選挙監視員が郵便投票の開票作業に立ち会うのを拒否されたり、他の州では選挙管理委員会の役人たちが郵便投票のルールを一方的に変更したりした。また郵便局の局長が消印の日付を変え、郵便投票を有効にするよう指示するなどの不正がまかり通った。

 いずれもトランプ大統領の陣営に不利に働くもので、同氏は投票の不正を暴き、最後の一票まで見極めたいと法廷闘争に入った。何せ、主要メディアが民主党の応援団と化したのだから、同氏には茨の道が待っている。

 気流子は、これほど大きな山が揺らごうとする話題を取材したことはないが、日本の半導体が1980年代、世界を席巻していた頃を思い出した。半導体を製造する弱電メーカーの幹部が欧州メディアのインタビューに「国内市場で勝ち抜くのは、世界市場で覇を唱えるより難しい」という内容のことを話していた。

 国内ではメーカー同士が、半導体製品の差別化のため、末端の製品に直結する部分まで熾烈(しれつ)な販売競争を繰り返していた。発言は当事者たちの実感だろうが、“国内戦”はしょせん消耗戦にすぎない。

 得意の時期が過ぎて、90年代に入ると半導体開発の方向性を見失い、世界市場への投資を怠って世界一の地位を失った。大国も油断は禁物。蟻(あり)の一穴、いやすでに欠陥の穴はかなり大きい。