安倍政権は「全世代型社会保障」の内容に…
安倍政権は「全世代型社会保障」の内容に目鼻が付いたところで退陣。社会保障制度の大きな改革は先送りされ、引き継ぐ次期首相の実行力が問われる。
2022年からは、1947~49年生まれで戦後の高度経済成長の牽引(けんいん)役だった団塊の世代がついに後期高齢者の75歳以上となり始め、社会保障給付額は大幅に増加する。自民党総裁選に立候補するお三方は63歳から71歳。この局面に対する感慨はいかに。
一方、例を見ないスピードで人口減少が進んでおり、その影響が顕著な各地域で過疎化がさらに進むことが考えられる。ユニセフは「日本の子供の約7人にひとり(14・9%)は貧困状態」と発表している。少子超高齢化社会の厳しい現実がますます迫り来る。
安倍政権で子供らへの福祉政策が次々と打ち出されてきたが、やはり年金、医療、介護など高齢者への社会保障費が重くのしかかっている。「全世代型」と従来の高齢者重視の社会保障との接点をどこで見つけられるか。
広井良典・京都大学こころの未来研究センター教授は「問題なのは、医療なら医療、年金なら年金、福祉なら福祉という具合にバラバラに論じられて、社会保障の全体的な将来像が見えてこないことだ」という趣旨の話をしている。
あす自民党総裁選が告示され、自民党や日本記者クラブなどの主催で候補者討論会が続く。「持続可能な福祉社会」を実現するに足る国家像が候補者たちの口から出てくるか、どうか。