安倍晋三首相の辞任表明を受け、共同通信が…


 安倍晋三首相の辞任表明を受け、共同通信が先月末行った世論調査で、内閣支持率が56・9%となり、1週間前の調査より20・9ポイントも上昇したことが話題になっている。辞任を表明した途端に支持率が上昇するというのはあまり例がない、一体どういうことなのかと。

 辞任の理由が健康問題で、重要な政治判断を誤ってはならないという責任感から出たものであること、さらに長い間ご苦労様という思いが表れた面もあるだろう。

 新型コロナウイルスへの対応で十分な休暇もとれず、体調があまりよくなさそうだと思いつつも、野党や反安倍を売り物にするメディア報道の影響で、ついつい冷ややかに見ていたような人も、突然の辞任表明で安倍ロスに気づいたのではないか。

 海外からは辞任を惜しむ声が届けられ、その国際的な評価の高さを初めて知った国民も少なくないだろう。安倍ロスの本当の意味に気づくのはこれからかもしれない。

 この世論調査でより重要なのは、7年8カ月の安倍政権の実績を評価すると答えた人が7割以上に上ったことだろう。考えてみれば当然だ。選挙を通し、安倍首相に長期にわたって政権を託したのは国民自身なのだから。

 辞任前の支持率の低さはコロナ対応への不満が大きいだろう。しかし「感染防止と社会経済の両立」を進める以上、早急に成果を出すことは難しい。ただ感染も減少傾向に向かっており、その方針は概ね間違っていなかったように見える。