見た目がそっくりなヒラメとカレイ。…


 見た目がそっくりなヒラメとカレイ。「左ヒラメに右カレイ」(腹を手前にして置いた場合、左側に頭と目があるのがヒラメ、右側がカレイ)というのがその見分け方だ。しかし、北海道豊浦町の内浦湾で水揚げされたヒラメは右を向いていた。

 地元テレビ局が「ぎょぎょっと驚く珍魚です」と報じた。その1匹だけでは珍魚ぶりは分からないが、それと普通のヒラメを左右に並べた映像を見ると、いかにも奇異な感じがする。右向きヒラメが作りもののように見えてくる。

 放流や養殖の魚だと1万匹に1匹の割合で発見されるが、今回は天然のヒラメである可能性が高く、非常に珍しいという。見つかったヒラメはすでにセリにかけ出荷された。試料が少な過ぎて研究の対象にならないからだろう。

 巻き貝の形状に偏りがあることもよく知られる。9割の種が右巻き、残り1割が左巻きと言われているが、理由はよく分かっていない。巻き貝は多く得られるので、それを研究する生物学者もいる。

 興味深いのは、この左右の違いが宇宙の誕生の秘密に関わっていることだ。物質を構成する素粒子のニュートリノは左巻きしか見つかっていない。

 宇宙創世時、物質と反物質は同等だったが、いつの間にか物質の世界となった。ここにニュートリノが関わったとみられる。なぜ左巻きなのかは、謎だ。左右に対する自然の摂理のこだわりが、食物である魚にも見られるのは不思議な気がする。