政府は、石炭火力を重要な電源と位置付けて…
政府は、石炭火力を重要な電源と位置付けてきた日本のエネルギー政策を転換し「脱炭素化」を進める姿勢を国際社会にアピールすることになった。エネルギー源として改めて注目されるのが水素だ。
既に2017年に政府は「水素基本戦略」を発表。安倍晋三首相は「基本戦略は日本が世界の脱炭素化をリードしていくための道しるべだ」と強調した。
政府に歩を合わせるように経団連は昨年12月、二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す「チャレンジ・ゼロ」構想を提唱し、このほど137社・団体の参加を決定した。さらに産業部門で、排出量の大きい鉄鋼業界が50年をめどに、水素を利用した製鉄技術を開発することを明らかに。
水素は「爆発しやすく危険」といったイメージがあるが間違い。酸素と結び付けることで燃料電池として自動車や一般家庭用に発電したり、燃焼させて熱エネルギーとして利用したりすることができ、火力も大きい。その際、CO2を排出しない。
海外に目を向けると、ドイツも水素をエネルギーとして活用する「水素戦略」を閣議決定した。技術開発や国際的な技術協力に今後数年で90億ユーロ(約1兆1000億円)を投入するという。その記者会見で、担当者は日本の技術を「先駆的だ」と評し、協力先の筆頭に挙げた。
今、新技術が次々と開発されている。水素技術でないと夜も日も明けない――日本がリードする水素時代の到来を待ちたい。