新型コロナウイルスの国内での感染者が…


 新型コロナウイルスの国内での感染者がクルーズ船乗船者を除いて3000人を超えた。緊急事態宣言を出すのが時間の問題であれば、早いに越したことはないと思うのだが。

 安倍晋三首相は、現状を「ぎりぎり持ちこたえている」と語る一方、緊急事態宣言について「必要な状況になれば、躊躇(ちゅうちょ)なく行う」とも述べた。

 わずか1カ月で8万3000人にまで感染が拡大した米ニューヨーク州で治療に当たる米国日本人医師会長の柳澤貴裕医師は、時事通信社のインタビューに「東京など大都市にはそうなる要素がある」と警告し、外出自粛の厳格化などを強調している。

 ただ、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて緊急事態宣言が発令されたとしても、基本的に外出自粛などは要請にとどまる。感染者が急増し臨時医療施設の開設が必要になった時、適地を所有者の同意なしに利用したり、医薬品や食料を強制的に収用したりすることはできる。しかし、不要不急の外出に罰金を科したりはできない。イベント自粛にしても、あくまで要請に留まる。

 小池百合子都知事の発言で、いわゆる都市封鎖(ロックダウン)が行われるのではと色めき立ったが、現行法下では不可能だ。憲法に緊急事態条項がないことを改めて問題にする声が出るのも納得できる。

 現状としては、緊急事態宣言が発令された場合、その深刻さを国民一人一人が受け止めて要請に従うことである。