福島市に古関裕而記念館があり、ドライブの…


 福島市に古関裕而記念館があり、ドライブの途中で案内板を見て立ち寄ったことがある。地元でも人気があるのは、この作曲家による校歌を歌って育ったという人が多いからだ。

 業績の全体を知ることになったが、曲が視聴できるコーナーがあって選んだのは、映画「モスラ」でザ・ピーナッツが歌った「モスラの歌」。子供のころ映画の中で聴いて忘れられなくなった曲だ。

 摩訶(まか)不思議なメロディーである。西洋のでも日本のでもない。ここで知ったのは、インドネシアの架空の島の石碑に書かれた呪文という設定で作られたということ。作曲家の途方もない才能を改めて思った。

 作曲をしていたという部屋が再現され、展示してあった。三つの座卓がくっつけて並べられ、それぞれに五線紙が置かれている。位置を変えて座り、一度に数曲を作っていたというから驚きだ。

 福島市では新型コロナウイルスの感染拡大と東京五輪・パラリンピックの延期決定で、二重の打撃を受けている。地元紙によると、飯坂温泉では警備関係や観戦者らの宿泊予約がすべて白紙になった。

 福島市は野球とソフトボール競技の会場となる予定だった。それでも古関をモデルにしたNHK連続テレビ小説「エール」の放送が始まって、地元民を激励している。書店には関連書籍が並んでいた。気流子が選んだ一冊は、子息の古関正裕さんが書いた『君はるか』(集英社)。書簡を元にした両親の愛の物語だ。