ベトナムは近年、高い経済成長を続けており、…
ベトナムは近年、高い経済成長を続けており、人口もベトナム戦争が終結した1975年に5000万人程度であったのが現在9000万人弱。電力需要が急増し、中部や南部の複数の場所で原子力発電所の建設が計画されている。
この計画について先日、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は「(東京電力福島第1原発事故後に)価格、電力の安定供給、環境保全面で、原子力エネルギーの重要性が再認識された」との考えを示し、「可能な限りの支援を行う」と述べた。
原子力の平和利用を進める国際機関の長の発言として重要だ。今やベトナムも含め、新興国のエネルギー供給問題は切実だ。21世紀のエネルギー動向に関するどのような議論も、エネルギー供給の世界的なアンバランスに対し、解決の方向を示さないものは空理空論と言えよう。
さらに、世界にはいまだに電気のような近代的なエネルギーの恩恵に浴していない人が16億人もいる。必要なエネルギーを供給されることなしに、生活、医療水準の向上や産業の発展はあり得ない。
原発は万能薬ではないが、今日のエネルギー問題を解決するための選択肢の一つだ。IAEAには、技術面でのアドバイスや人材の育成などで協力する役割を強化してほしい。
また日本のような技術先進国が、原子力の平和利用のため各国のインフラ整備に協力することも意義あることである。