新型コロナウイルスが猛威を振るう欧州では…


 新型コロナウイルスが猛威を振るう欧州では、英国のチャールズ皇太子やジョンソン首相まで検査で陽性が出た。

 公の場で多くの人と接する機会の多い皇太子である。ウイルスが欧州に侵入してからは、感染を避けるために握手を封印し、肘と肘を付け合ったり、インド式に合掌し軽く会釈する「ナマステ」で挨拶(あいさつ)したりするようにしていたが、つい握手しそうになったりする様子がテレビで紹介されていた。

 欧米に比べて中国、韓国を除くアジア諸国でなぜ感染が少ないのか、やはり不思議だ。初動対応などさまざまな理由があると思われるが、日常的な生活文化、とくに挨拶のスタイルの違いもあるのではないかと、素人考えで思ったりする。握手が一般的な欧米と会釈を基本とする東洋の違いだ。

 ナマステにはもともと哲学的な深い意味があるようだが、相手の人格の尊重が基礎になっている。日本人の会釈も己を低くし相手を尊重する姿勢がベースにある。これに対し握手は、一説によると、手に武器を持っていないことを示すことから生まれたともいう。

 優劣ではなく、それぞれ文化的な背景があるということだ。イタリア人はよく頬と頬をくっつける挨拶をする。気流子がナポリのある家にお世話になった時、その家のお母さんが別れを惜しんで、その挨拶をしてくれたが、心が通い合う挨拶だと思った。

 この素敵な挨拶が、これまで通りできるような状態に早く戻ることを祈るばかりだ。