無料や安価で、一人親や共働き、貧困世帯の…


 無料や安価で、一人親や共働き、貧困世帯の食事のサポートをする民間発の「子ども食堂」。支援団体によると、2019年6月時点で全国3718カ所が確認されており、食事のみならず、学習支援や子供の居場所の提供、地域交流の場としての役割もあるという。

 それが、新型コロナウイルスの感染拡大で休止が相次いでおり、残念な事態だ。気流子の知り合いの婦人が通うキリスト教の施設内でも、2年ほど前に子ども食堂が開設された。

 近所にチラシなどで紹介すると当初2~3組だったが、最近は親子連れ30人ほどが顔を見せている。月1回、休日の昼食がそれで200円を徴収。チャーハンと小魚、味噌(みそ)汁などがメニューの一例だ。

 子供は小学3、4年から中学2年生ぐらいで、食後に教会に通う青年たちにギターを習ったり、外国語を教えてもらったりしている。塾のように一律的なカリキュラムによる競争の場ではなく、和気藹々(あいあい)の集まりだ。5~6歳上の兄・姉貴分からいろいろな経験談を聞くことができるのも捨て難いようだ。

 数年前、愛知県安城市にある真宗大谷派の本證寺を訪ねた。戦国時代、三河一向一揆の拠点だった寺で、当時から地域住民の寄り合いが定期的にあった。今も住民のため、休日には住職の説法も行われる。

 住民らが地元産の食材を調理して持ち込むこともあるという。今、全国で急増する子ども食堂に対する願いもこんな場の設定ではなかろうか。