学校の臨時休校、美術館などの休館、プロ…


 学校の臨時休校、美術館などの休館、プロ野球オープン戦の無観客試合、各種イベントの中止や延期、規模縮小――。縮こまって過ごしてきた寒さが少し緩む春のひな祭りも、今年ばかりは閉塞(へいそく)感がのしかかる。

 もとより中国・武漢市から世界に広がった新型コロナウイルスによる肺炎の予防が今は最優先とあれば、仕方のないことだ。政府の対応が唐突とか場当たり的だとか批判はあっても、この段階で先行した対策を取らなくても中国のような爆発的拡大を招く恐れなしとは断言できまい。

 踏み込んだ対策を講じなくても「無策」などの批判を免れないのだ。ところで、のしかかる閉塞感を吹き飛ばしてくれたのが、日曜日の東京マラソン男子の大迫傑(すぐる)選手だ。日本勢トップはエチオピアなど有力な海外勢になお1分ほど遅れ4位2時間5分29秒だが、自身の日本記録を21秒更新した。

 それでも東京五輪男子代表の残りの1枠は8日のびわ湖毎日マラソンの結果待ちだが、世界に置いていかれた日本マラソン界がこの大会で、世界トップレベルの殿(しんがり)に食らい付いたことが示す意義は決して小さくない。

 大迫選手の他に3人が好タイムで日本歴代10傑入りしたからだ。大会8位の高久龍、同9位の上門(うえかど)大祐(だいすけ)両選手は6分台。7人が7分台をマークしてひしめくのだ。

 世界を意識した高速レース時代を競(せ)り合える、ワンランク上の厚い選手層ができつつあることがマラソン界の先行きを明るくしている。