新型コロナウイルスをめぐって、発生源の…
新型コロナウイルスをめぐって、発生源の中国本土(湖北省武漢市)はもとより感染者が出ている日本など各国が対策に全力を挙げている最中に、水を差すような物言いで恐縮するが、やはり言及せざるを得ないことがある。
グローバルな対策の最前線に立つ世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の発言に、中国に対する忖度(そんたく)が目に余ることだ。例えば、ドイツ訪問中の中国・王毅外相との会談。
事務局長は「WHOは中国の取り組みを高く評価し、習主席の傑出した指導力に感服している」と表明した。これを伝える北京時事は、専門家チームの中国派遣でも「『中国の能力不足のためではなく、団結・協力を示すためだ』と配慮をにじませた」(小紙17日付)と報じる。
中国の取り組みに百歩譲って高い評価を認めたとしても「習主席……に感服」はいらない。余計なおべんちゃらであり、個人崇拝になりかねない。国際機関のトップの発言としてふさわしくないのは明らかだ。
エチオピア元外相のテドロス氏をめぐっては当初から、新型ウイルスの問題で中国の肩を持つような発言を繰り返すことが指摘されてきた。
日本では在英国際ジャーナリストの木村正人氏がインターネット(ヤフーニュース15日)で詳報。産経(16日付)もジュネーブ(板東和正氏)から欧米メディアの批判を報じた。問題はWHOだけでない。最近は公正・公平・中立の立場に立たない国際機関トップが目立つ。