最近、とみに読書量が衰えていることを実感…


 最近、とみに読書量が衰えていることを実感する。原因の一つに、年齢を重ねるとともに活字を読み続けることへの集中力が欠けてきてしまったことがある。若い時のように本を一気に読み通すことができなくなった。

 このため、1冊の本を読むのにかなり時間がかかるようになった。また別の原因としては、老眼が進み、活字を読むのがしんどくなったことが挙げられるだろう。

 かつては面白い本に出合うと、そのまま徹夜に近い状況で読み通すことがあった。だが、今はそんなことはほとんどなく、興が乗っていても途中で止めることが多い。夜遅くまで読んでしまうと、翌日に体力的に響くからである。

 こうした事情と共に、もう一つの要因としては、どうしても仕事の関係上、日常的にスマートフォンやタブレット、パソコンなどで電子画面を長時間にわたって見なければならないため、活字を読むのに比べて眼精疲労が蓄積しやすいことがあると思われる。

 人工的に再現されている画面は、知らず知らずのうちに脳の機能、インプットされた情報の処理などに影響を与えているのだろう。

 高校時代、本を興奮して徹夜で読んだことを思い出す。それは学校の図書館で偶然出合ったロシアの文豪ドストエフスキーの『罪と罰』だった。その時は世界が一瞬にして変わったような気がしたほど感動したものだ。しかし最近は、このような読書体験をあまりしなくなったのは残念でならない。