新聞などでは小さな扱いだったが、環境省は…


 新聞などでは小さな扱いだったが、環境省は3月上旬、今通常国会に大気汚染防止法改正案を提出する予定だという。石綿(アスベスト)の飛散防止強化が狙いだ。

 いわゆるアスベスト問題は1975年ごろ、国際機関がその有害性を明らかにし、日本でも大きな社会問題となった。その後、アスベストが使われた建造物解体の手続きなどの法律が施行され、被害者の補償、救済活動が営々となされてきた。

 しかし、いまだアスベストの発じん性を完全には封じ込めることができていないとの知見がある。改正案では建物解体時の飛散防止の安全対策を受注業者に義務付け、違反者への処罰も盛り込む。

 アスベストは耐火性だけでなく耐摩耗性に優れ、安価で加工しやすい素材として世界的に重宝された。そのため今も、建材以外で使われる国はあるが、日本は代替品の開発に努めてきた。問題発生から40年以上経(た)つが、行政や司法のきめ細かく粘り強い対応を評価したい。

 今日、環境問題の対象であって、その評価が一変した素材にプラスチックがある。特に海洋プラスチックごみは土に戻らず、海洋汚染や生態系の変化を引き起こしてしまう、厄介な問題だ。

 日本では微生物が作るポリマーをプラスチックに置き換える技術が改良されている。過去発生した公害問題の収拾に経験も実績もある日本が、世界に広がるプラスチック問題でも積極的に解決のリーダーシップを取ってほしい。