東京・新宿から京王線の急行電車で約30分の…
東京・新宿から京王線の急行電車で約30分の調布駅(調布市)。駅前広場がずいぶん広くなって、整備され見違えるようになった。親子で遊べる人工芝や樹木を囲むしゃれたベンチ、季節の花のフラワーガーデンも。
昨年のラグビーW杯の期間中、この駅前広場には、パブリックビューイングなどのイベントに約2000人が集まり、日本の戦いに歓声を上げていた。その後、歌のライブなども。すっかり若者の街の印象だ。
以前、宅地造成・土地活用の企画会社(株)ナミキ(板橋区成増)の石塚隆正社長に、2020年の東京の住宅事情や街の活性化の手法を聞いた時に「これからは住宅の造成より街づくりが大切」と話していたのを思い出した。
近年、多くの人が住み、人気が高い川崎市の武蔵小杉。石塚氏は「成増も交通の便が良く、物価水準を含む生活利便性も高いのに、なぜ武蔵小杉(むさこ)のような繁栄がないのか、とよく聞かれる」と。
街の利便性だけを押し出してもこれまでのように住宅は売れなくなってきた。背景に、東京における今後の人口減少と若年層の「マイホーム離れ」があるという。「武蔵小杉とは違った文化都市・成増をつくっていくことが求められている」(石塚氏)。
「文化都市」とは大仰に聞こえるかもしれないが、都内の多くの自治体が「心地よい地域・生活空間」を掲げ、新しい街づくりを手掛けているのも同じ意図だろう。東京の未来図の一端が見えてきた。