令和初の元旦、新聞の社論から。今年は…
令和初の元旦、新聞の社論から。今年は2度目の東京五輪・パラリンピックの年である。その基点をどこに置くのか。小紙はそれを「安倍政権の歴史的評価を決するものであるばかりでなく、日本国の将来を決するもの」だと憲法改正に求めた。
「五輪を成功させるためにも首相にはやるべきことがある」とする産経は「国のため尊い命を犠牲にした戦死者を篤(あつ)く弔うのは、為政者としての責務」だと靖国神社参拝を「なぜできないのか」と強く迫った。
いずれも正論ではある。読売は「新たな時代へと始動するにあたり、起点とすべきは、多くの国々がうらやむ日本の総合的、相対的な『豊かさ』を正当に評価し、これまでの発展と政治や社会の対応力に自信を持つこと」で、変革に挑む「気概を新たにしたい」と呼び掛けた。
日経は①産業競争力を高める企業の変革②少子化対策など③エネルギー・環境政策の一体的工程表作成――を掲げて「持続可能な国づくりの具体策を競う年に」することを求めた。経済紙らしい視点からの提案である。
4紙に対し、朝日と毎日はやや抽象的。ロシアのプーチン大統領の強権的ナショナリズム、香港をめぐる中国共産党政権などに、安倍政権を並べて「自由と民主主義が押し込まれている」「世界の憂うべき潮流と軌を一にしている」(朝日)と批判するのは疑問。
同様の視点でも、日本が「民主政治の旗を掲げ続ける」意義を強調する毎日の方が妥当に思える。