不法出国したカルロス・ゴーン被告。昨年…
不法出国したカルロス・ゴーン被告。昨年12月29日、関西空港からトルコ・イスタンブールに向かってプライベートジェット(PJ)が離陸したことが確認されており、ゴーン被告はこの時積み込まれた荷物の中に隠れていたとみられる。
PJの場合、関空など国内の主要空港では、出国の保安検査の際、乗客は荷物のX線検査を受ける義務はないという。保安検査は乗客の安全を守るための措置であるという理由からだが、ゴーン被告の側はその事情を逆手に取った。
ただ、PJでも、機長からの要請があれば荷物のチェックがなされる。航空機の運航ではフライトの初めから終わりまで、その安全について機長が全責任を持っているからだ。要請がなかったのは、機長をグルにしたからだろう。
機長の権限の強さについては、海外で国内便を利用した時などに実感したことがある。機体整備が済んで乗客も乗り込んだ後に、1時間も2時間もじっとして飛び立たない。機長が機体にちょっとした異常を感じて自ら徹底的に調べていたからだ。
機長のこうした権限を踏まえ、日本の場合、簡便な保安検査で済ませているが、今回はその配慮が仇(あだ)となった。国外逃亡だけでなく、機体から地上に向けて異物を投じるテロ犯罪などに利用されないか。
ゴーン被告の逃亡は、わが国の航空システムの盲点を突いた犯罪だ。不正出国を防止するため、出国時の検査の実効性について検証しなければならない。