大晦日(みそか)だと思っていたら、あっと…


 大晦日(みそか)だと思っていたら、あっという間に正月が終わる。久しぶりにのんびり過ごしたいと思っていたのに、時間の過ぎるのが速い。そんなふうに感じるのは、高齢者特有の時間感覚とばかりは言えないだろう。

 以前だと、故郷に帰省して両親と一緒に過ごし、親戚へのあいさつ回りなどで慌ただしかったが、それでも初詣に行ったりテレビ番組を見たりと、ゆったりと時間が流れていた気がする。

 家の事情などで、帰省することがなかなか難しくなったことがあるかもしれない。ただ、それだけではないとも感じる。原因の一つとして、伝統的な正月の過ごし方や風俗がなくなったことがあるだろう。羽根突きやたこ揚げ、すごろくなどの遊びは影をひそめ、気流子の親戚の子供たちを見ても、テレビゲームやスマートフォンに夢中になっている。

 遊びというと「よく遊び、よく学べ」ということわざもあるように、子供時代には重要な要素である。友人たちとの交流を通して社会性も育まれていく。

 現代の正月は休日の延長のような感じがしている。もっと伝統的行事や風習を見直すべきではないか。こうした中、わずかに正月気分を味わうものがあるとすれば、雑煮を食べたりするぐらい。

 「ゆるぎなき柱の下の雑煮かな」という句が高浜虚子にある。この柱とは、一家の大黒柱たる父性を象徴したものだろうか。その意味で、国体の「ゆるぎなき」令和2年を望みたい。