特別背任などの罪で起訴され保釈中だった…
特別背任などの罪で起訴され保釈中だった日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したニュースが、世界を駆け巡っている。世界的に著名な経営者で、海外から日本の司法制度への批判が出ていたこともあり、格好の話題を提供している。
この前代未聞の逃亡劇で、日本の司法制度、出入国管理制度は踏みにじられ、国家の尊厳そのものが著しく傷つけられた。政府そして国民は、何よりもこのことを深刻に受け止めなければならない。
司法当局も国外逃亡の恐れがあるとみて、保釈条件で海外渡航を禁じていた。なぜ、やすやすと出国を許してしまったのか。
プライベートジェット機を使ったことは確かなようだが、出国審査をどうかいくぐったのか。木箱に隠れていたとの情報もあるが、はっきりしないことが多い。いずれにしても、真相解明を急ぐ必要がある。
ゴーン被告の事件捜査が進むにつれて、このカリスマ経営者の影の部分がどんどん明らかになった。悪知恵を働かせるのがうまい人間であると分かった時点で、警戒をもっと厳しくしておくべきだった。
国際刑事警察機構(ICPO)の手配書をレバノン政府は受け取ったが、日本との間に犯罪者引き渡し条約がないため、ゴーン被告の身柄引き渡しに応ずる可能性は低いという。しかし、ことは主権の尊厳に関わる問題だ。政府はあらゆる外交手段を通じて、ゴーン被告を日本の裁きの場に立たせなければならない。