仕事柄深夜に帰宅することが多いが、夜遅く…


 仕事柄深夜に帰宅することが多いが、夜遅くテレビを見ると結構いい番組がある。先日もNHKのBSプレミアムで、この夏のBBCプロムナード・コンサートの最終夜の公演をやっていた。

 BBCプロムスは、毎年ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを中心に8週間にわたって行われる世界最大のクラシック・コンサート。チケット料金はかなり割安で、英国のクラシック・ファンの裾野を広げるのに一役買っている。

 最終日はフィナーレに一連の愛国的な曲が演奏される。「ルール・ブリタニア」「行進曲『威風堂々』第1番」「エルサレム」そして国歌「ゴッド・セーヴ・ザ・クイーン」と続き、会場の熱気は頂点に達する。

 ジェームズ・トムソンの詩にトマス・アーンが曲を付け、1745年に初演された「ルール・ブリタニア」は「統べよ、ブリタニア!大海を統治せよ」という勇ましいもの。英国を擬人化した女神ブリタニアが世界を治めるというのだ。

 ウィリアム・ブレイクの詩をもとにした「エルサレム」の最後は「僕らがエルサレムを打ち建てるまで/イングランドの心地よい緑の大地に」。「永遠のエルサレム」をイングランドにつくろうと、キリスト教的理想に結び付いた愛国心を歌っている。

 会場には英国旗が翻り、保守党の大会のようだが、中には欧州連合(EU)の旗も見られた。かの国のナショナリズムのさまざまな側面が垣間見えるコンサート風景だった。