整形と素顔
韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」
整形はいつからあったのか。さまざまな説があるが、紀元前3000年ごろ、エジプトで道具を利用した手術で鼻骨やあごの骨折を治療したというから、整形の歴史は非常に長い。貴族階層を中心に整形がはやり、ミイラも整形したとの記録も残っている。
わが国には、韓国動乱の負傷者を治療するため1950年代中盤に入ってきたという。当時の一般人は整形が何かも知らなかった。経済発展による所得増加と女性の社会的な地位が多少高まった1980、90年代になって初めて整形が普遍化した。今は男性が整形するケースも多い。
国際美容整形手術協会によると、韓国女性の5人に1人は整形手術を行い、年間の整形手術は70万件前後。男性を含む非公式の整形手術まで数えればこれよりはるかに多い。カラオケ店の看板までとはいかなくても、整形外科が入っていない建物がほとんどないくらいなので、わが国の整形熱気は今後、ますます盛んになることはあっても衰えることはないはずだ。
わが国の整形市場の規模は世界全体の4分の1を占めるという報告書もある。世界の整形市場の規模は200億㌦、わが国は45億㌦と推定される。整形を知ってわずか数十年で名実共に“整形共和国”になったわけだ。
わが国の整形外科の数は実に2000前後で、そのうち約1000がソウルと首都圏に集中している。ソウルの江南(カンナム)には全世界で唯一無二の“整形通り”まで生まれた。
人々はなぜ整形をしようとするのか。老若男女いずれも、きれいに見られたくて、時間を止めるためだけだろうか。ある調査によると、病院を訪れる大部分の人は整形の理由を「未来に対する不確実性のため」だと言っている。面接を控えた高校の受験生は大学進学のため、大学卒業を控えた学生は就職のため、引退を控えた中年は新たな未来のために容貌を変えようとする。
今、「父母がくれた体を整形するのは不孝」などと言えば、「古くさい」と一蹴されるのがオチだ。整形してよりよい未来が開かれれば、整形が悪いとばかりはいえない。だが、不確実性のために整形しなければならない社会なら、これは明らかに問題がある。大学進学を控える上の娘が整形したいといったら許すべきか、NOと言うべきか。
(1月3日付)